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ダイヤ設計の業務は、建築訴訟・擁壁訴訟・地盤訴訟・損害保険訴訟等の鑑定書の作成、及び調査診断報告書の作成。
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欠陥擁壁110番

既存擁壁の耐久性診断

コンクリート・間知石練積み・空積石等

擁壁個別診断





コンクリート診断士資格証明書 (日本コンクリート工学会)

目黒碩雄 


       




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このページの項目

1 既存擁壁の耐震・耐久性診断について


2 簡単で難しい?擁壁の問題点について


3 地震と擁壁について


4 ダイヤ設計の擁壁耐震診断 (擁壁欠陥、健全度等の判定、補修計画)


 (参考図等) Ⅰ鉄筋コンクリート擁壁の施工上の注意・他

     財団法人全国建築士協会発行「構造図集 擁壁」から抜粋

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1 既存擁壁の耐震・耐久性診断について



一般的に既存擁壁の耐震診断が必要になる場合は次の様な場合が考えられます。

事例1

中古住宅購入に当り、購入予定の土地に擁壁が設置されていて、建設時から相当の年月が経過している。擁壁自体にある程度の構造的なヒビが発生しており、コンクリートの耐久性自体にも不安がある。中古住宅である為、購入から10年ないし20年後には建物の建替えの必要性も考慮する必要がある。


この場合、現在の既存の擁壁のままで再建建物の建築が可能かどうかの判定は、一般の消費者においては困難であると思われます。このような場合、購入の<意思決定>の為の耐震診断とその既存擁壁の耐久性に対して専門家の判断が必要になります。


事例2

現在擁壁の設置されている敷地に居住しているが、最近その敷地の近隣においてマンション等の大規模の建築工事が行われ、既存の擁壁が変形・ヒビ割れが発生し始めた。その為、現時点で早急に現状の擁壁の状態を第三者機関において記録しておきたい。


事例3
Aさんの敷地境界から隣地に10cm位入った位置で、隣地の建売業者により一方的に擁壁を施工されてしまう。隣地のAさんに対してその擁壁の構造等については事前に何らの相談もない。しかし、相手側の擁壁工事が不完全な工事であれば、擁壁崩壊による被害は、この擁壁工事に全く無関係である擁壁上部の土地所有者のAさんが被ることになります。


事例4
Aさんの自己所有地に建設されたAさん所有の擁壁に隣接する隣地土地所有者(Bさん)から次のようなクレームがついた。

今度、当方(Bさん)が今住んでいる住宅を建て直すことになりましたが、現状のAさん所有の擁壁の施工場所が、今回、当方が新築する建物に隣接しております。また、近所の話では、この擁壁は工作物の確認済を受けていないとも聞いています。朽化の為、崩壊の危険性があります。現在当方の敷地は立替の為に更地になっておりますので、この際当方の敷地を利用して、Aさん所有の擁壁を安全な擁壁に再築するよう請求します。そして、その擁壁の建築費用は当然Aさんの負担において施工してもらいたい。

このような文書がご丁寧にも「内容証明便」で郵送されてきた事例相談がありました。いわゆる所有権に基づく物上請求権を、BさんはAさんに行使したわけです。
その法的根拠は下記のとおりです。

(物権は物を直接に支配する権利なので,円満な支配が妨げられたときはそれだけで妨害を除去して物権の内容を実現する権利(物権的請求権)が生ずる。物上請求権ともいう。妨害の態様により,物権的返還請求権,物権的妨害排除請求権,物権的妨害予防請求権の3つがある。民法に明文の規定はないが,物権は物を支配する権利であること,占有権についても占有訴権が認められていること,民法202条に「本権ノ訴」とあることから,通説・判例によって認められている(大判大正5・6・23民録22・1161等)。)

この事例の場合は少し複雑です。

この様な場合、民法の規定どおりに、Bさんの所有権に基づく妨害予防請求権がAさんへ請求された場合、Aさんとしては自己費用で老朽化した擁壁を再築しなければいけないのでしょうか。
それではAさんにとって、少し酷な気が致します。何しろ擁壁工事という土木工事は、建築工事と比較して相対的にかなりの費用になります。ましてこのAさんがこの土地の元からの所有者ではなく、前所有者からの転得者であったとしたらますます気の毒になります。

そこで、判例を調べてみました。
裁判所の判断としては、常識的且つ妥当な法律判断であろうとおもわれます。


参考判例(横浜地判昭61.2.21.判時1202.97.判タ638.174)

その大意は下記のとおりです。

隣接する高地所有者が低地所有者に対し崩壊した土砂等の土止めの原状回復と将来の崩壊防止措置を求めたのに対し、低地所有者が境界近くの土地を削り杭打ちしたこととともに、高地所有者も永年水抜きを怠り低地への流れを放置したなど双方の過失が原因しているとして、判決主文で、費用の平等負担による共同修復、ないし原告が単独で工事する場合はその費用の半額を被告が負担すべきことを命じたもの(静岡地浜松支判昭37・12下民集13・1・1)、隣接地間において低地所有者が高地所有者に対し高地の擁壁(約三メートル高)が崩壊して低地の所有権を侵害するおそれがあるとしてその改修工事を請求した事案につき、崩壊予防設備は、相隣関係にある両地にとって等しく利益になる一方、莫大な費用を要するから、民法223条、226条、229条、232条等の相隣関係上の規定の類推により、両者共同の費用をもって設置すべきものとし、諸般の事情を考慮した上、主文において被告に対し被告二、原告一の割合の費用負担をもって改修工事をすべく命じたもの(横浜地判昭61・2・21判時1202・97、判タ638・174)があり、また、原告所有地と被告のために仮換地として指定された土地とが隣接していたところ、台風のためその仮換地が崩壊して土砂が原告所有地に流下し原告所有家屋を損壊したので、原告が被告に対し既に堆積している土砂の撤去(妨害排除)と将来の崩壊防止のための擁壁工事(妨害予防)とを訴求した事案につき、台風による土砂崩壊といえども仮換地が崩壊の蓋然性の存する土地であった以上不可抗力による妨害とはいえないとして、土砂の撤去の請求を認容しながら、その妨害予防工事については、それによる利益と必要性は両地につき等しく存し、しかも予防工事には莫大な費用を要するから、一方的に予防工事施工の請求を認めることはできないとして、この請求を棄却した・・・・・・


擁壁建築後、時間が経過している場合、法律的には第一義的にその造成地を購入した土地所有者等が、民法717条の規定で損害賠償の責任を負うことになります。しかし、擁壁崩壊による被害の賠償額は、通常かなりの金額になるのが通例です。その為、第3項の規定により、その擁壁工事を施工した施工会社が二義的に損害賠償をすることになります。

しかし、施工会社が倒産や解散等の状態にある場合等、損害賠償の相手が存在しなくなる事が現実的にはあり得ます。このような場合を想定し、現在進行中の擁壁について、構造的な見地から専門家のアドバイスを必要とすること。


第七百十七条(民法)  

1 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。

2 前項の規定は、竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用する。

3 前二項の場合において、損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、占有者又は所有者は、その者に対して求償権を行使することができる


上記4つの事例は、ダイヤ設計が今までに直接依頼者から建築相談を受けた中でも、比較的に多かった事例をあげたものです。



  
2 簡単で難しい?擁壁の問題点について



擁壁の構造計算は、建築の構造計算と比較すると簡単であると言えます。
なぜなら、高さ4m・長さ100mの擁壁でも、その擁壁の一部分1mを取出し、その部分の土圧による擁壁の厚さとそれに対する鉄筋量を構造計算で求めるだけだからです。

言葉は悪いのですが、素人でも簡単に計算が可能とも言えます。パソコンの擁壁ソフトを起動し、必要パラメーターを入力するだけで自動的に計算をしてくれます。

しかし、現実に経済的に安全な擁壁を設計することは、かなりの経験と施工実績を必要とします。パソコンに入力するパラメーターの擁壁支持地盤の地耐力、土圧係数、どれ一つにおいても専門的な判断が必要となります。

その理由は、この擁壁における土質定数の設定は、設計者努力や能力の及ばない範囲に関係しているからです。

擁壁建築地での地盤調査、各種土質試験により得られた値=情報も、その値が本当に適正な採用可能な値であるかどうか、客観的に証明することは困難と言えます。なにしろ相手は自然そのものの生の「土」であり、本当に適正な値であるかどうかを証明するのは難しいからです。

土の性質は、同一地質でも、平面的な位置や上下の深さで異なることが多く、均一性に欠ける場合が多い。擁壁工事を必要とする地形は、通常土地の凸部の傾斜地である為に、複数の地層で構成され、複雑多岐であります。

それに反し、調査費用のコストが限定される場合が多く、設計者が満足できる十分な試料が得られるとは限りません。気候条件や季節の影響で、地下水位が変動したり、その支持地盤の含水比が変化することは十分考えられます。しかし、今の土質力学は、そこまでの変動を考慮した設計法に達していません。

この点、21世紀の現在の日本においても、年間の東京の天気予報の確立を80パーセントにすることが現実的には不可能であることと似ています。このような不確定の要素は、設計時において設計者の判断に委ねられ、<安全率>という抽象的な数値で反映されるにすぎません。

また、擁壁の施工についても同様に、建築と比較して一見簡単シンプルに思われます。実はここに大きな落とし穴があります。

発注者側は簡単にその施工業者を選定してしまいます。擁壁工事のトラブルの原因の多くは、施工に問題があるのです。
通常、建築の基礎工事業者に頼みがちですが、土木専門の業者に発注すべきです。

擁壁の構造自体はシンプルでも、建築の施工とは異なる施工上の配慮が必要です。擁壁工事の施工においては、残念ながら建築技術者よりも土の専門家である土木技術者のほうが、設計、施工とも格段に勝れております。



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3 地震と擁壁について



常識的には、地震時に擁壁が崩壊すると考えられております。しかし、通常の擁壁で、その高さが8m以下のものについては、その擁壁の構造計算において、地震力の計算はしません。

その理由として、道路土工指針では、高さ8m程度以下の擁壁については、常時土圧のみで安定性を照査すればよいとしています。これは、粘着力を無視して求められる高さ8m程度以下の擁壁の常時土圧は、1~2tf/㎡の粘着力を見込んだ地震時土圧をも包含していると考えられる為と思われます。

実際、地震による被害を調べてみても、常時土圧できちんと設計されたコンクリート擁壁は、ほとんど被害を被っていないと言われています。
平成7年1月17日に発生した兵庫県南部地震では、建物や橋梁、ライフラインなどが甚大な被害を受けました。

しかし、擁壁については、地盤が液状化した箇所の護岸や岸壁、空積みブロック擁壁、JRの一部の擁壁で倒壊などの被害があったものの、多くの擁壁はほとんど被害を受けませんでした。
常時土圧できちんと設計しておけば、大きな地震に対しても安全であることが、あらためて実証されました。

参考文献 「誰も教えてくれなかった疑問に答える 擁壁設計Q&A」より抜粋
      発行 理工図書株式会社



擁壁の崩壊の原因は、地震よりも、集中豪雨や5月6月の長雨により、擁壁背面土が水分を含んだ結果の土圧増大による崩壊や、<円弧滑り>による崩壊のほうが多いのが現実です。

後に挙げてある擁壁の参考図は、財団法人全国建築士協会の発行する「構造図集 擁壁」から抜粋したもので、比較的一般的に利用可能な標準的な構造図と、その施工におけるポイントを表記してあります。
専門家でなくても、熟読してもらえれば、擁壁の基本的な事項は理解可能であると考えます。ぜひ、参考にしてみてください。



  
4 ダイヤ設計の擁壁耐震診断(欠陥擁壁、健全度等の判定、補修計画)

対象擁壁の構造形式(コンクリート擁壁・間知石練積み擁壁・空積石擁壁等)による既存擁壁を、個別診断をいたします。


◎ 現地に於いての目視診断


内 容 目視による診断の上、問題箇所の説明、補強・改修工事の工法等の提案または再建築の
     アドバイスをいたします。

    (調査報告書の提出はありません)

費 用 
50,000円~70,000円  (交通費・消費税別途)



◎ 簡易診断
 (調査報告書2部提出)

内 容 国土交通省作成のチェックシートに基づき判定します。
擁壁危険度の評価区分としてA、B、C のランク判定がされます。

判定例

A(小)当面の危険性無し。
B(中)変状が進行する可能性がありと判定される場合には防災工事(補強工事等)の必要性あり。
C(大)早急に防災工事(補強工事等)を実施する必要性あり。

診断内容

1 目視チェックを中心変状状況の確認(構造ひび割れ確認、沈下、ハラミ出し等の確認)
2 変状原因推定→改修工法の提案

簡易診断の金額 業務料金表 既存擁壁調査診断 簡易診断
ご参照ください。



◎ 標準診断 (調査報告書2部提出)

内 容

国土交通省作成のチェックシートに基づき判定します。
擁壁危険度の評価区分としてA、B、C のランク判定がされます。

A(小)当面の危険性無し。
B(中)変状が進行する可能性がありと判定される場合には防災工事(補強工事等)の必要性あり
C(大)早急に防災工事(補強工事等)を実施する必要性あり。

上記「②-1簡易診断」の項目に、下記の1~7の検査項目が追加されます。

 1 コンクリート強度試験。(コンクリート擁壁の場合)
 2 コンクリート中性化試験。(コンクリート擁壁の場合)
 3 鉄筋被り厚測定。(コンクリート擁壁の場合に現場状況により判定します)
 4 擁壁全体の沈下、倒れ等変形測量(レベル測量、レーザー測量 水準器)
 5 構造ひび割れ原因調査。
 6 改修工法の提案。
 7 裏込砂利厚さ等計測。(間知擁壁等の場合等)

 以下の⑧~⑪の検査項目は、費用別途計算・打ち合わせ項目となります。

  ⑧ 鉄筋発錆状況確認。(コンクリート擁壁の場合)
  ⑨ 支持地盤の地耐力測定。
  ⑩ 擁壁厚さ計測。
  ⑪ その他
    (コンクリート擁壁で設計図面があるものは、構造計算が可能な場合があります。)

標準診断の金額 業務料金表 既存擁壁調査診断 標準診断ご参照ください。

※注記
 ◎擁壁の長さ・種類・二段擁壁(混合擁壁)・擁壁高さ等により、検査項目及び費用は増加
  する場合もありますので御相談となります。
 ◎「国土交通省作成のチェックシート」が調査対象擁壁の現状と妥当しない場合には、添付
   しない場合があります。



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(参考) 財団法人全国建築士協会発行「構造図集 擁壁」から抜粋

  
Ⅰ 鉄筋コンクリート擁壁の施工上の注意


A.一般的な場合の注意


1.地 盤(地耐力等)
擁壁を設置する場所の土質(地耐力等)は設計条件を満足するか否か確かめること。条件と相違する場合は設計者と協議し、設計内容を再検討すること。


2.強度の異なる鉄筋の混合使用禁止
鉄筋の配筋は強度の相違する鉄筋を混合して使用しないこと。


3.コンクリートの被り
鉄筋に対するコンクリートの被り厚さは定められた厚さを厳守し、鉄筋位置がずれないように幅止め金物、スペーサー・ブロック等で正確に固定すること。


4.バイブレーター
コンクリートの打込みには極力バイブレーターを使用して骨材の分離を防ぎ密実で、均質なコンクリートとなるよう施工すること。


5.コンクリートの打継ぎ
コンクリートの打継ぎは横打継ぎを極力避けること。やむを得ず横打継ぎとなる場合は、同一高さとならないよう配慮し、打継ぎ面には土砂等の異物が混入しないよう十分清掃すること。


6.テストピース
コンクリートの打込み時には必ずテストピースを採取して、強度に疑いが残らぬ処置を施すこと。


7.埋戻し
型枠存置期間は建築基準法第76条(建設省告示第110号「参考資料参照」)に定める最低日数を守り、所定のコンクリート強度が確かめられない前に裏込め土の埋戻しを行なわないこと。

8.排水関係
排水のための水抜穴は、次の事項を十分考慮すること。
(1)擁壁の裏面全面に透水層を設けること。

(2)透水層は一般的に栗石・砂利または砕石をもちいる。ただし、石油系素材を用いた「透水マット」を使用する場合にはその特性に応じた適正な使用方法によること。適正な使用方法等については、「擁壁用透水マット技術マニュアル」(平成3年3月 社団法人建築研究振興会)を参考とする。

(3)水抜穴は擁壁の下部地表面近くおよび湧水等のある箇所に特に重点的に配置すること。

(4)水抜穴は千鳥配置とし排水方向に適当な勾配をとること。

(5)水抜穴は壁面の面積3㎡以内ごとに内径75mm以上の耐水材料を使用して設けること。

(6)水抜穴の入口には水抜穴から流出しない程度の大きさの砕石等を置き、砂利、砂、背面土等が流
 出しないように配慮すること。

(7)地盤面下の壁面で地下水の流路にあたっている壁面がある場合は、有効に水抜穴を設けて地下水
 を排水すること。

(8)透水管はコンクリートの圧力で潰れないものを使用すること。


9.伸縮目地
伸縮目地は原則として擁壁長さ20メートル以内ごとに一箇所設け、特に地盤の変化する箇所、擁壁高さが著しく異なる箇所、擁壁の構造工法を異にする所は有効に伸縮目地を設け、基礎部分まで切断すること。また擁壁の屈曲部は隅角部から擁壁の高さ分だけ避けて設置すること。


10.隅角部の補強
擁壁の屈曲する箇所は隅角をはさむ二等辺三角形の部分をコンクリートで補強すること。二等辺の一辺の長さは擁壁の高さ3メートル以下で50センチメートル、3メートルを越えるものは60センチメートルとする。




 擁壁の隅部の補強方法
 ダイヤ設計 擁壁の隅部の補強方法



11.酸・塩・有機物・泥土の排除
骨材、水および混和剤はコンクリートの凝結を妨げるような酸・塩・有機物または泥土を含まないよう注意すること。


12.骨材の大きさ
骨材は鉄筋相互間および鉄筋と型枠との問を容易に通る程度の大きさとすること。


13.鉄筋の末端の安定
鉄筋の末端はかぎ状に折り曲げて(フック)コンクリートから抜け出さないよう定着すること。ただし、異形鉄筋はこの限りではない。


14.主筋の継手
丸鋼を使用する場合は、主筋の継手は構造部材における引張力の最も小さい部分に設け、継手の重ね長さは、溶接する場合を除き主筋の径(径の異なる主筋を継ぐ場合においては、細い主筋の径)の25倍以上としなければならない。ただし、主筋の継手を引張力の最も小さい部分に設けることができない場合においては、その重ね長さを主筋の径の40倍以上とすること。


15.引張り鉄筋の定着
引張り鉄筋の定着される部分の長さは、主筋に溶接する場合を除き、その径の40倍以上としなければならない。



B.特殊な場合の注意

1.余 盛
将来の地盤の沈下等を考慮した擁壁背面の宅地の余盛は、擁壁上端の水平面上の載荷重5kN/㎡をこえない範囲とすること。この場合、法面は十分締め固めると共に芝付けを入念に行なうこと。


2.長大法面
長大法面を有する場合の擁壁については、十分に技術的検討を加え、重力擁壁にする等の考慮が必要である。長大法面の保護についても十分に検討すること。


3.支持杭の設置
標準構造図集以外の地耐力の場合は、地質について十分調査検討のうえ、支持杭設置等を考慮することが必要である。



Ⅱ 前提条件

1.仮定した背面の土質は、宅地造成等規制法施行令第8条4号の第2種に対応する普通土(単位体積重量16kN/m3~18kN/m3、仮想内部摩擦角30°)である。

2.地耐力については各国に記載の地耐力以上の地盤に基礎を設けることを条件としているので、これより悪い地盤の場合は他の設計が必要である。

3.コンクリートの4週圧縮強度は1平方ミリメートル当り18ニュートン以上。鉄筋の引張基準強度は1平方ミリメートル当り235ニュートン以上とし、計算は日本建築学会「鉄筋コンクリート構造計算規準」によること。 

4.載荷重は1平方メートル当り5キロニュートンをこえないこと。




Ⅲ  図  例

      擁壁高さ2mの図例 
      ダイヤ設計 擁壁高さ2mの図例



      擁壁高さ3mの図例
      ダイヤ設計 擁壁高さ3mの図例



      擁壁高さ4mの図例
      ダイヤ設計 擁壁高さ4mの図例



      擁壁高さ5mの図例
      ダイヤ設計 擁壁高さ5mの図例



      擁壁高さ6mの図例
      ダイヤ設計 擁壁高さ6mの図例



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