建築おたすけ人・ダイヤ設計は、建築物訴訟関係、欠陥擁壁・欠陥建物及び地盤の調査・診断等の業務を行っております。

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技術屋の中辛コラム


その5 『ここが間違う。建築構造材と土木構造材(地盤)の本質的な相違点について』


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                 その6 『これからのコンクリート性能の目指すもの』のページへ

              
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その5『ここが間違う。
     建築構造材と土木構造材(地盤)の本質的な相違点について』



最初に
一般的には建築物も地盤の上に構築されるものである以上、建物それ自体の構造上の安定性についての検証は無論当然の事であり、その支持地盤の検証についても関係法令に基づき当然クリアーされているはずです。
しかし現実の実務作業の場においては、残念ながらその支持地盤の検証については相対的に建物ほどに留意はされておりません。

このことは構造基準の見直しや法令の改正にも係わらず、従来から今日までの「地盤トラブル」事件は一向に減少していない現実からも、納得できるところとおもいます。
その背景にあるものとして主に、設計段階の面、地盤の特殊性の面、の二つの面からの問題点について考察してみます。


1、設計面(構造計画)からの問題点について。

建築基準法や施工令においては、ある具合的な場所においてどのような形態の建物をどのような建築資材で建築するかについては、非常に事細かく規定されております。

それこそマンション建物などでは設計者がデザイン的に主張する箇所は、容積率を有効にした設計計画であれば仕上げ材の色やアプローチ部分のモニュメント程度であり、建物の外形等は設計者の自由度は無く法令そのものが計画設計をするようなものです。

その一方で構造部分の設計については、個別具体的な部分については設計者の判断にゆだねている場合がかなり多いといえます。

例= 地盤調査データーからの許容地耐力の算定。
    各種土質試験方法選択と決定。
    構造計算における計算ルートの決定や個々の算定公式の選択等。

このことは「建築基準法」の1条の目的が以下のように規定され、この最低の基準以上の建物に住みたい人はそのコストを自己の負担において選択してください、となっております。

(この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。)

建蔽率、容積率 北側斜線等のように直接的に第三者に損益を及ぼさない構造計画については、最低の基準を満たしていればかなりフレキシブルな法体系になっております。
我々は、これから建築する建物や現在居住している建物の安全性が確認されているから居住するわけではなく、生活活動の為の必要性から居住するに過ぎないという現実的な選択に繋がることになります。

従って<安全性>等については、かなりの余裕幅があることになります。


2、建築構造部材と地盤の異なる所を述べてみます。

建築関係の設計者や施工者等で構造力学や部材の材料力学について知識のある人でも、地盤工学はその基本概念がイメージとして解りずらいと考えている人が多いと思われます。

そこでこの項では何故判りづらいのか、その根底にある両者の材料の概念の相違について述べてみます。
最初にお断りをしておきます。かくいう当方は数学は不得意であり構造の専門家ではありませんので、軽い気持ちで参考程度としてお読みください。

その1
◎土の地盤は、砂・水・空気の<三相構造物>であり、且つその混合割合が無限に存在します。その為極めて複雑な挙動を示すことになり、「強度」其の物もおかれた状況により大きく変動することになります。

この点、鉄やコンクリートのように一定の強度が変動しない建築材料とは著しくことなります。

◎同一の材料は存在しない事。
地盤(土地)はその地理的な位置が特定されている為に、その組成が同一という物は水平方向と垂直方向共に厳密には存在しないことになります。
建築材料のようなシンプルな組成体ではありません。

従って、この地球上の地盤は宇宙空間のようにその体積自体は大きくはないが、その複雑性においては銀河系宇宙を含む大宇宙よりもかなり複雑です。
宇宙開発よりも地中開発の方が物理的にはるかに難しい、といわれるのもこの辺にあります。

その2
◎部材強度の試験方法の相違点について。
建築の主要部材である鉄筋やコンクリートの強度を調べるには、鉄筋の場合であれば破断するまで機械で引っ張ればいいし、コンクリート強度の場合はテストピースを油圧機械で押しつぶすことにより、わずかなコストで極めて短時間で確認することができます。

そして重要なことはこの試験は機械が100%行う為、測定値のバラツキや試験をする人間の技量も影響しません。

一方地盤の強度測定はかなり複雑であり、まず最初に地盤中のどこの部位の土質をどの程度の深さまで、どのような地盤のサンプルをどのくらいの数を採取するのか、費用対効果を勘案して決定する必要があります.

又、地盤の強度測定には沢山の試験方法があります。
このことは、決定的な万能な方法が無いということに他なりません。又その解析理論自体に<一貫性>もありません。
その結果、試験結果の数値にバラツキが多い事になります。

土質試験の種類によっては時間のかかる試験もあります。その試験費用もかなり高額です。

その3
◎工業製品と純粋自然物の相違。
土は人工部材である建築部材と異なり、品質管理の制度が存在していないしJASS-5のような標準仕様がありません。
地盤強度は、建築部材の<引張り強度>・<圧縮強度>・<曲げ強度>等についてはそれほど問題とせずに、主に<せん断強度>を対象としています。 

◎自然(水)の影響をうけやすい。
鉄やコンクリートは水に浸かってもその物性強度の影響は受けませんが、地盤を構成する土はそのせん断強度は著しく低下します。

◎修復コストが大きい。
採用数値の判断ミスによる構造物の修復工事は構造物全体に影響する為、部分的な修復が困難な場合が多く全体に影響することが多い。

経験式であれ理論式であれ真実の数値(最確値)からは、隔たりがあることを肝に銘じる必要があります。
要するに試験と現実の計測数値の間の整合性が、建築部材のように強くないということです。

計測する為に<モデル化>をしたり、計算条件に<仮定や前提条件>の設定をせざるを得ないことによります。


結 び
これらの地盤(土)の特殊性が『地盤』という物を理解しにくくする原因であり、『理論値』のみでの測定値を機械的に適用して構造設計をすることは危険であり、『経験則』による適切な『判断と評価』
が不可欠になります。





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