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技術屋の辛口コラム ダイヤ設計

その4 『不同沈下事故が多発する原因について』

 
辛口コラム関連のページ
  
その1 『地盤品質判定士試験』支援講座
  
その2 「地震では擁壁は崩れない?
  その3 コンクリートの水セメント比についての素朴な疑問
  その5 ここが間違う。建築構造材と土木構造材(地盤)の本質的な相違点について
  その6 これからのコンクリート性能の目指すもの
  その7 既成プレキャスト擁壁に変状事例の理由は?


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その4  不同沈下事故が多発する原因について


最近では以前とは異なり、小規模の建築物に対してもある程度の構造計算が建築確認申請時においてなされるようになり、以前よりも審査の内容が大分厳しくなっている様に思われます。
しかし、現実には地盤を原因とするトラブルである不同沈下問題が頻発し、他の構造トラブルよりも問題化する傾向にあります。
そこでその原因について、少し考えてみたいとおもいます。


考えられる原因

その1 沈下量に対する安全率は考慮されていない。


建物の構造計算をする上で杭や地盤の許容地耐力計算においては、実際の荷重の三倍の荷重に耐えられるように法令や基準で定められています。

例えば下記式中の地盤の許容支持力の計算式ですが、1/3が安全率3の意味です。


 


 ●注記
   許容地耐力とは許容支持力を包含する概念であり、沈下に対する検討も包含します。
   許容支持力(地盤を破壊させる荷重=極限支持力を安全率3で割った値の事)以内で、かつ、沈下または
   不同沈下量が許容限度以内に納まるような力の事。


しかし、許容支持力の計算式には、不同沈下の原因となる圧密計算式にはこの安全率が見込んでありません。
従って沈下量の計算は、安全率については1倍であり余裕がありません。

それより問題なのは、許容支持力を求めればそれで問題なしとして、沈下に対する検討をしていない設計者や施工者が多いことです。

圧密沈下量の計算や検討をしたとしても、安全率に余裕がみてありません。
現実には許容支持力の計算のみで良しとしているのが現状です。

支持力の問題と沈下の問題は別なものです。峻別して考察する必要があるのです。
このことはこのHPの随所で述べている所です。

不同沈下が多発する原因の最大の原因は、この点にあると考えられます。
住宅等の小規模建築物にとっては、沈下リスクの回避の費用対効果との制約は切実な判断となります。
関係法令の基準の変更が急務であると考えます。


その2

土木の専門家は建築にあまり関わらないし、建築の専門家は土木とあまり交流がないと言われてます。
そして、このことは事実でもあります。

土木工学の対象は基本的には土・コンクリート・鉄についての体系であり、対象は建築と比べると相対的にはシンプルです。
その為、土とコンクリートに対するシビアーさは建築の比ではありません。
構造物の耐用年数の設計条件が、建築物よりも相当長く設定されている為です。

建築工学の方はこれら三つの材料に加えて、機械設備、都市計画等や芸術性をも包含した人文科学的な要素が加わり、広範囲にわたります。

大学での建築学科のカリキュラムが盛り沢山なこともあって、大学のカリキュラムの中でも通常は構造力学の基本を学ぶ程度であるのが現実です。
とても地盤工学の分野にまで学ぶことは、時間的にも無理といえます。

又建築は理系ではありますが、デザイン等の芸術性等の人文科学的な要素についても包含する体系です。

小生のように数学が不得意ではあるが、物を作る事が好きな人の受け入れ先が建築関係であるという一面もあります。
理数系の中で<数学音痴>の最後の駆け込み寺ともいえる分野が建築です。
その結果、一部の人を除いて、土質力学を学習せずに卒業して建築基礎の設計を行う技術者が多いことになります。

適格な例ではありませんが、土木=旧陸軍とすると、建築=旧海軍のように思えてなりません。
やはり対象とする敵は同じでも手法が異なると、双方面子等が絡み交流は少ないのかもしれません。


その3

建物の支持地盤は工業製品等とその<物性>が異なり、その場所により個別的であり構成要素がランダムで複雑です。
透水性、空気や水を含みます、これらのことが複雑化の原因ともなります。
建築材料である鉄やコンクリートのように物性がシンプルではありません。

又、関東ローム地山の力学的性質は大きくバラつき、N値と相関関係にもバラつきがある為、3階以下の建物であるからと言って安易に布基礎にすると不同沈下を起こす可能性があります。

信頼性の高い値を得るためには、土質サンプルを採取して<土質試験>を行う必要があります。
建物を計画する設計者、建売住宅を購入しようとする人は十分にこれらの点について検討するする必要があります。
一般的には専門家のアドバイスを受けることが、コストパフォーマンスの点からもお勧めです。


                                                        以上




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