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技術屋の中辛コラム


その3 『コンクリートの水セメント比についての素朴な疑問


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          その2 『地震では擁壁は崩れない?』のページへ

          その4 『不同沈下事故が多発する原因について』のページへ

          その5 『ここが間違う。建築構造材と土木構造材(地盤)の本質的な相違点について』

                   その6 『これからのコンクリート性能の目指すもの』のページへ


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その3 『コンクリートの水セメント比についての素朴な疑問


最初に、コンクリートの水セメント比の一般的な概念。


◎コンクリートの強度を表す指標のひとつ。
主要な材料である水とセメントとの割合で、水量をw、セメント量をcとすると「w/c」の百分率(質量比)で示される。
水が多いほど練り混ぜしやすく型枠にも打ち込みやすい半面、コンクリートの強度は低下する。
建築用コンクリートでは水セメント比は50~65%、住宅金融公庫では水セメント比の最大値を普通コンクリートの場合が65%、軽量コンクリートの場合で60%と定めている。

ところが水セメント比というコンクリートを配合するときに、水とセメントの量の比率のうち水を少なくすると中性化(コンクリートの耐久性)の進行を著しく遅らせることができます。
そのため、鉄筋コンクリート造の耐久性対策では単にかぶり厚を確保するだけでなく、積極的に水分の少ないコンクリートを打設し、かぶり厚+水の少ないコンクリートによって長い耐久性を確保しようと考えています


水セメント小のコンクリートの長所と短所

○耐久性の増大(中性化しにくいコンクリートになる為、内部鉄筋がさびにくくなる)。
○中性化の低減。
○コンクリート強度(相対的)の増大。
○ひび割れ発生が少なくなる。


◎一見するといいことずくめのコンクリートになるはずですが、何故このようなコンクリートを現場では使用しないのか?

水セメント小コンクリートは構造物にとって大きな長所を持つものであるのに、現実の現場特に建築関係の現場では何故に水セメント比の高
いコンクリートが使用されるのか。(いわゆるシャブコン問題)


使用しない理由

①.コンクリートの打ち込み時に於ける施工性の良さ(コンクリートポンプ車のホースがつまらない為、短時間で施工が出来る)。

水セメント比の大きなシャブコンは流動性が高い為、柔らかくコンクリート打ちの作業が圧倒的に楽になります。

(ワーカビリティ workability。 生コンの打ち込み作業のしやすさを表す用語で、「施工軟度」ともいう。 水分量の多さの他にコンクリー
トの流動性、粘り、材料分離への抵抗性など、さまざまな要素が関係するため経験的な側面もある。
要するに仕事が楽ということ。)


水セメント小コンクリートを使用して緻密なジャンカの少ない表面の美しいコンクリートを打設するには、バイブレーター等を使用して入念に施行する必要があります。
又シャブコンと比較して水セメント小コンクリートは水分が少ない為、施工中コンクリートポンプ車のホースなどにコンクリートが詰まるなどのトラブル発生の問題もあります。


施行完成後のコンクリートの欠陥隠しになる。

いい加減にコンクリートを打設したとしても、型枠を撤去後コンクリート面にジャンカなどが発生しにくい為、施主からのクレームが防止できることなどの不真面目な施工者にとってはまことに便利なコンクリートなのです。

このような問題のあるコンクリートで基礎や躯体分を作ってもコンクリートの欠陥が目視等による確認が可能になるのは、少なくても10数年後のことですからなかなか厄介な問題です。


◎セメント量の多いコンクリートは、良いコンクリートなのか?

セメント量の少ない低品質コンクリートの例

この写真はセメント量の少ない貧配合コンクリートと推定される擁壁ですが、
セメントペースト分が少ない為<ジャンカ>が発生しております。

 

 



◎又それではセメント量を多くさえすれば良いコンクリートと言えるのか?


単位セメント量を増大させると強度は増大しますが、外の厄介の問題が発生することになります。
単位セメント量が多いほど乾燥収縮が大きくなり、ひび割れが発生しやすくなります。
又細骨材である砂の粒子が細かいほどヒビ割れが発生します。

このことは、最近は施工例としては少なくなりましたが、昔の左官屋さんがモルタル仕上げの外壁において、下塗り、中塗り、上塗りの順にセメント量を少なくして砂の粒子を大きくして表面にヒビ割れを発生し難くしていたことからも納得できる所です。

ある長所は他の短所にもなるのです。
この辺がコンクリートの他の建築材と異なり複雑な所です。
なにごともバランスの問題(コンクリート調合の問題)に帰着します。


◎いわゆる高強度コンクリートの問題点。

ある意味コンクリートの強度をあげるにはセメント量を増やせば増大します。
コスト的にもそれほど負担ではありません。
一方構造計算上、必要とされているコンクリートの圧縮強度は70㎏/㎠にすぎません。
設計上安全を見て210㎏/㎠程度で生コン業者に発注するのが普通です。
しかし、この発注したコンクリートを試験機関で<圧縮試験=ツブシ試験>をしてみると350㎏/㎠の強度があります。
(当方は今までに数百回程度この圧縮試験に立会ましたが、例外なくこの程度の強度が発現します。)


◎推察される原因(設計屋さんの問題点。生コン業者の問題点等)

設計屋さんの問題点

コンクリートに対する認識不足からその強度のみに注意を払い、<ひび割れの問題>や中性化(耐久性)や現場での施工性についての認識が不足している事。
通常設計の仕様書においてその<強度>と<スランプ>のみを指定してよしとして、コンクリート打ち込みの調合計画と打ち込みの機械類や作業方法までを考慮した計画をしていないのが、残念ですが現実と思われます。

又、生コンクリートを依頼者の指定により<調合設計>に基づき製造する場合において、当然にその製品には『バラツキ=標準偏差』は避けられません。

基準ではある程度のバラツキを考慮して安全を見て(割増し係数)強度等を定めるのですが、例えば210㎏/㎠で発注したコンクリートが200㎏/㎠であつた場合、構造計算上は何も問題ないはずですが、現実には設計監理者等の認識不足から往々にしてクレームがくる場合があります。

その為、生コン業者はこのようなクレームを回避するため、セメント量を増やして調合する事になります。
そうでなければ、これほど強度が上回るはずがありません。
双方の安易な責任回避の体質にあると言わざるを得ません。

高強度のコンクリートを土木工事と異なる断面の小さな構造体に打設するには、施工上の一定の配慮が必要になります。

『強度至上主義』のコンクリートは、構造物の<ライフサイクル>を考察した場合は決して良いコンクリートは言えません。


◎住宅建築に於ける発注の問題点等

そこで、通常の住宅建築に使用するコンクリートとして理想的なコンクリートを考えてみます。

 理    想   現    実

 砂利 川砂利(丸い砂利)
 砂 川砂
 水セメン比(小)
 適正な単位セメント量
 スランプ小

 砕石(角ばった砂利)
 海砂
 水セメン比(小)
 セメント量多い
 スランプ大き目
打 設 の 方 法

 猫車又はバケット
 型枠部分を入念に木ハンマーで振動
 単位水量小 

 ポンプ車による短時間打設
 震度ブレーカー使用
 単位水量小


その他に<空気量><減水剤><使用骨材の良否><塩化イオン含有量><使用セメンの決定><打設後の養生の問題>等、コンクリートの品質を決定する要因はいろいろあります。

しかしこれらの上記項目を大きく概観すると、あたかも手作りコンクリートと機械による大量生産によるコンクリート製品とは、施工直後はあまり相違はありませんが、時間の経過とともに大きく変わります。
         
                                             以上です。





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