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 ダイヤ設計の業務は、建築訴訟・擁壁訴訟・地盤訴訟・損害保険訴訟等の鑑定書の作成、及び調査診断報告書の作成。
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『技術屋の辛口コラム』


『技術屋の辛口コラム』

№21 ・ コンクリートのひび割れの話

一級建築士 ・地盤品質判定士 ・コンクリート診断士  目黒碩雄




 №21 ・コンクリートのひび割れの話


建築関係の訴訟の代表といえば、よく言われるように<雨漏り訴訟>ともいわれる屋根、外壁からの雨漏事故による民亊訴訟事件が有名です。
ところがあまり一般的には知られてはいない建築関係の訴訟に、実は雨漏り訴訟の次に多い訴訟事件として<コンクリートのひび割れ>関係の訴訟があります。そして、ひび割れが問題となった個所は雨漏り訴訟と同じく、床や屋根と外壁である事が「紛争処理支援センター」発表の相談件数データーにて公表されております。

この事件の特長と問題点等(小規模建築物を対象とした場合)

●問題点
コンクリート自体のその物性に対して、理解をしている技術者が建築関係の分野には少ないこと。

土木関係の技術者は、主にコンクリートと地盤関係が専門である為、当然にコンクリート関係に対する知識も経験もあり日々コンクリートのひび割れとの闘い?には慣れており、知識も建築関係技術者よりも格段にあります。
このことは私見ではありますが、土木構造物は構造体に仕上げ材が無く外気に直接晒されおり、その計画耐用年数も建築物よりも長く設定されている為、ひび割れが構造体に及ぼす影響度を建築物よりシビアーに考えている事にあります。

10階建のビルの基礎のひび割れとダムやトンネルの躯体のひび割れでは、重要度と再建築のコストでは比較になりません。建設コストと耐用年数の基本的な設定が、一因でないかと考えております。
ここで問題となるのは、一般の住宅建物や小規模鉄筋建築物の建物所有者である一般最終消費者と、コンクリートに明るい土木技術者との社会的、経済的な接点が無いことです。

建築士の場合はどんな田舎の小さな町でも、建築事務所はあり建築士はおります。
問題なのは、建築士は通常コンクリ-トの概要等についてはある程度の知識はありますが、各論のひび割れの原因究明というような分野までは精通しておりません。まして設計業務を主とする建築デザイナーと称する人々は一級建築士の資格が有っても、コンクリートだけではなく構造関係の知識も全くないのが普通です。

何故なら建築の世界は土木の世界と異なり、マスターする分野が多すぎます。
例えば、建築設計、構造設計、設備設計、内装仕上、建築法規、その他の関係行政法令等々の全体をマスターすることは、ほとんど不可能の分野とも言えます。

医者だって内科、外科、産婦人科、小児科、循環器、眼科、皮膚科などと分化されております。産婦人科と眼科が両方できる医者などいません。本人ができるのであれば法的には問題はないそうです。


●具体的にひび割れを少なくする方法について。

コンクリート構造物において経済性を無視をした特別な意義を持った建物を計画するような事例を除いて、コンクリートひび割れを完全に近くまで防止する施工方法は、現実的には不可能です。

又、設計者がガンバッテ極力ひび割れの少ない建物を造ろうとして、設計図書や特記仕様書にその具体的な仕様や施工方法までも細かく表記して請負契約書を作成したとして、仮にさらに受注する施工者がそれらの基準を遵守しようとしてコンクリートの骨材までも指定、厳選して膨張の少ない一般骨材よりもハイグレードの骨材を使用してひび割れの少ない建物を造ろうと計画してとしても、現実の取引の場においては、2億や3億程度の建物に特別こちらの希望するような生コンを生産してくれる生コン工場に出合える可能性はまずないと考えるべきです。

砂は川砂 粗骨材は丸型自然石などと指定しても、生コン業者にとっては無理な話です。

しかし昔々、当方の中学生の時代のコンクリートはこのようプレーンなコンクリートで建物を造っておりました。中学校に通う行き返りに、池袋の立教大学の今は解体されたタッカーホールを建築中によく見学しておりましたので、記憶に今でも残っております。

現状の生コンは、100%細骨材は塩分を含んだ海砂であり、粗骨材の砂利は大きな石を機械で砕いた人口の砂利である砕石が普通です。
今の日本で、川砂や天然の砂利などを採取できる河川などほとんどありません。
因みに埼玉県庁の河川課に問い合わせしたところ、昨年度埼玉県内で骨材採取を許可した回数は1回あっただけである、ということでした。
先ず最初にこの辺の事情を確認しておいてください。


●ひび割れを少なく又は目立たなくする方法

現状のコンクリート工学的な知見での可能の範囲は、ひび割れ幅の縮小化と発生本数を少なくする程度までです。

対策 その1 誘発目地の施工

例えば壁の中の窓のコーナー部によく発生する斜めひび割れは、いくら補強筋を多く入れたとしても防止することは理論的には不可能です。そのため開口部近くの部位に誘発目地を施工して、そこにひび割れを集中させます。この方法は、ひび割れ防止不可能な部位においての特にひび割れが目につくと美に影響するような個所には、よく施工される工法です。
例えば擁壁などの場合、構造上問題とならないようなひび割れであっても、施主側が大変それを気にするのが普通ですので、長い擁壁等の場合には10mか15mピッチでこの誘発目地を施工してひび割れをここに集めます。

誘発目地と似た物に伸縮目地というものがありますが、こちらは誘発目地よりも少し大掛かりなもので、この部分で鉄筋を含めて躯体を完全に切断するもので誘発目地よりもより大掛かりなものです。

伸縮目地は誘発目地を兼ねておりますが、それ以外の目的により施工されます。誘発目地は適切な個所にかなり多く入れなければ効果はありません。よく見られる、お印程度に施工してある誘発目地程度ではほとんど効果は期待できません。
工事積算の段階で適切に見積もっておく必要があります。コンクリート打設費として一括計上的な積算認識では、できる工事ではありません。


対策 その2 鉄筋比を大きくする(鉄筋量を増やす)

ひび割れの幅を小さくすることが可能となり、目立たなくすることにはなります。鉄筋が増えることにより1本のひび割れが分散されて、目立たなくなるというイメーです。

昔のコンクリートの打設は、コンクリートを手押し車やバケットで少量ずつ打ち込み大勢の人間が型枠をハンマーで丁寧に打設、振動をさせながら打ち込んでいたため、ある程度水セメント比の小さな水分量の少ない固めコンクリートを打設しておりました。そして時間をかけて少しずつうち回しをしながら、ジャンカが出来易い場所やヒビ割れが良く発生する場所等は職人さんよくわかっていましたので、コンクリートの打設量を調整ししながら丁寧に打設していたので、今よりもひび割れは少ないコンクリートになりました。

しかし現在は100%機械化されたポンプ車にて、超スピードでパイプがつまらないように水分の多いコンクリートを打設する為、乾燥収縮ひび割れが多くなりました。


対策 その3 生コン工場

生コン工場の生産レベルは現実にはかなりの格差あります。JISの認定工場であるから問題なしとするような安易な選定をせず、必ず「試験練り」等を実施して、その工場の技術レベルをチェックする必要があります。


対策 その4 打設シーズンの検討

(前回のコラム№20をご参照下さい。)


対策 その5

どうしても特別事情によりひび割れを少なくしたい場合には、基本設計段階での基本構造計画の段階で、ひび割れ対策を考慮しておくことです。

例えば、
●ラーメン構造から壁構造への変更等。

壁構造はラーメン構造とは異なり、柱や梁がありませんので構造体の部材断面積の 差が少ない為、部材どうしでの乾燥収縮の量や時間差が少なくなる為にひび割れも少なくなります。

●具体的基本プランが完了した時点の実施設計のプラン段階で、構造計算において鉄筋比をアップしたり、ひび割れを分散するような鉄筋のピッチを考慮する等の対策を講じておく。

●コンクリート打設の施工グレードアップの為、施工積算単価を特記仕様書当に 表記して見積に反映させておく。

●近くに施工実績のある膨張コンクリート等が入手可能な生コン工場があれば、採用を検討してみる。
この場合、湿潤養生が重要であり省略は出来ない。


●最後に

これまでひび割れの無いコンクリート構造物を建築することの困難さについて、縷々説明してまいりました。
だからと言って、施工者は通常の設計や施工方法の知識や経験不足に起因した工事をしたり、通常の施工者であれば当然に採用する施工常識工法を採用せずに、技術的許容範囲や使用者の受忍限度を超えるような『ひび割れ構造物』を施工した場合は、不法行為又は契約上の債務不履行の法的責任は当然に追及されることになります。 



                                          以上です。


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