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その2『地震では擁壁は崩れない?』

 
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その2『地震では擁壁は崩れない?』


一般の人は擁壁という構造物も建物と同様に、大きな地震時においてはそれ相当の被害を受ける、と漠然と考えていると思います。

しかし現実には、擁壁という構造物は地震に対してはかなり強い構造物なのです。
一方、雨には弱い構造物であることを認識している人は、意外と少ないのではないかと思われます。


地震に強い理由 その1 

通常擁壁は、基礎部分と擁壁の壁が地震時において擁壁を支える地盤と一体となり、地震力(主に水 平力)により水平方向及び垂直方向にゆさぶられます。

この事は、例えば地震時において人間が地上に直立している場合と、少し極端な例ですが、地中に埋 設されている場合を概念的に想定した場合、地中に埋設されている状態のほうがはるかに地震の影響 は少ないと感じるはずです。

そしてこのことは、地上に建築された建物は地震時には地震力を大きく受け被害が発生しやすいのに比べ、 地中の工作物である地下室やトンネルやプール等は周囲の地盤と一体として動く為に、地震による被 害は発生しにくい事からも実感として理解しやすいと思います。


地震に強い理由 その2 

地震時において、現実に擁壁が負担する<土圧>は、ほとんど増加することはない事。


地震に強い理由 その3 

常時(地震発生を想定していない状態)の構造計算において、安全側の仮定条件及び法令の基準により定められた<安全率>により、地震時の安全性は十分に確保されている事。

具体的には、擁壁裏側の埋戻し土や、擁壁を支持する地盤の<粘着力>等の擁壁を安定させる<地盤定数>は、通常は構造計算上では無視して構造計算をしている事>




しかし現実に地震時に擁壁に損傷が発生する理由は?   

考えられる理由


大きな地震被害時における擁壁の事後調査につき、その被害状況の学術調査において地震による倒壊等による被害はほとんどなく、且つその原因は地震それ自体によるものではなく、下記の理由による ものであることが判明しております。

① 施工不良に起因したもの。(埋戻し土の転圧不足、水抜き穴の未施工等)
② 構造計算ミス。
③ 地震時における支持地盤の<液状化>現象によるもの。
④ 明らかな擁壁内部の鉄筋量の不足によるもの。
⑤ 増し積擁壁等による設計後の<載荷重>の増加等。

これらは全て、<構造計算基準>それ自体の原因によるものではないことが判明しております。


下記のデーターは、日本建築学会発行の「小規模建築物基礎設計指針」に頭記されている過去の地震による擁壁被害の原因データーです。
この被害原因から判ることは、ほとんどの場合、不適切な違法擁壁であることが判るとおもいます。


  ※『小規模建築物基礎設計例集』 一般社団法人 日本建築学会 編集・著作人、発行※

擁壁被害の原因データー


以前に読んだ擁壁のオーソリティーである専門家の書籍の中に、「擁壁は地震で崩壊することはない 。」との記述を読んだ記憶があります。

地震よりもはるかに怖い降雨による擁壁の崩壊で、擁壁崩壊の主な原因は降雨によるものが基本的に考えられます。

このことは、擁壁事故の原因の大部分は<豪雨時>に発生している現実があります。
通常擁壁の構造計算において、擁壁の裏側にかかる土圧計算においては擁壁に加わる外力は<土圧>のみをその対象としており、<水圧>は擁壁に加わらない(計算上は無視)ものとして計算しております。

国交省のデーター(兵庫県の例)によると、<総雨量>が100mmを超えると崖崩れ等が急激に発生する事が確認されております。

仮に何らかの原因により擁壁の裏側に雨水が滞留した場合には、●地盤強度に寄与する<せん断力>、<粘着力>の低下により、設計時の地盤定数の変動による土圧 の増加。

細かい計算は省略しますが、擁壁裏側の土が降雨等で満たされた場合では、そうでない通常の状態での<擁壁>にかかる土圧よりも、約2.5倍程度増加することがあります。

擁壁においては、適正に施工される<水抜き穴>の施行がいかに重要であるかが判ると思います。


構造計算上の問題点。

擁壁の構造において地震時の検討(計算上地震力を参酌してその計算に反映すること)は、どの程度の高さからするかはについて実務上若干の問題あります。

従来から、その擁壁の高さが8mを超えた場合にはその影響を無視できない程度に大きくなる為、検討することになっておりました。

「地盤工学会」、「地質工学会」等の学会の見解等も、擁壁高さが8m以下については、地震力を考慮 する必要はないとの見解でした。

その理由については、前記の擁壁は地震に強い理由の項で説明した所です。

しかし、1996年に改定された国土交通省監修「宅地防災マニュアル」において、「擁壁高さが2mを超える場合には地震時の検討を行う」という記述がある為、実務者の間に混乱が発生することになりました。

どちらを優先して構造計算をする必要があるかという問題です。

このような場合は、一般論からいえば当然に学会等の知見、見解が優先されるはずです。
国土交通の見解はあまりに非現実的で、経験則からも乖離している知見であると考えられます。

そこで日々建築基準法による<確認申請書>の審査を行っている<行政庁>としては、<内規>や< 行政指導>において双方の顔を立てて、折衷案として5mを超える擁壁については地震力を考慮した構 造計算をするように、取り決めているところもあります。


                                   以上です。





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