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『技術屋の辛口コラム』

『技術屋の辛口コラム』

№17 ・土木的擁壁構造物と建築物のいろいろな相異点について

一級建築士 ・地盤品質判定士 ・コンクリート診断士  目黒碩雄




№17 土木的擁壁構造物と建築物のいろいろな相異点について


A) 土木構造物  (道路・ダム・トンネル・橋梁)   ⇐ 土木工学分野のバックアップ
B) 建築構造物  ( ビル・マンション・住宅)     ⇐ 建築工学分野のバックアップ


一般的に土木構造物と建築構造物は適用される法令、設計方法、施工方法は、上記のようにある程度住み分けがされているのが普通です。

しかし問題となるのは建物や分譲地に付随する小規模な擁壁の場合には、この二つの分野からの設計、施工、管理(監理)業務や適用される法令等が、両方の分野から競合や相互乗り入れの部分があり、小規模な擁壁の運用を若干複雑にしているところがあります。

普通、擁壁という構造物は主に公共用の構造物である場合が多く、これを対象とする専門分野は<土木工学>分野が対象とする構造物であるともいえると思います。
そして建築物を対象とする専門分野は主として<建築工学>の分野であり、付随して電気や機械の<設備工学>が関係することになります。

一見すると擁壁などは建物に付随して築造され場合が多いので、建築物の一部ではないかと認識される場合が多いと思います。
しかし、擁壁は土木工事に付随して築造される場合が多いのです。
このことは高速道路や大規模の造成工事を想定してみればわかり易いと思います。

擁壁構造物に対する考え方は、土木分野と建築分野ではその擁壁の<供用形態>が異なる場合がある為に、構造形式や構造計算の基準や適用される基準法令も異なります。
従って、土木用擁壁で土木用計算基準法令に適合して安全であると認定されたとしても、その構造形式のまま建築用擁壁として供用することはできない場合もあります。

一般的に擁壁の構造形式は土木用擁壁のほうが種類は多く存在します。
どちらかと言えば、土木工事の方が擁壁を使う規模と使用形態が多いことによります。
従って設計基準の法令基準も異なります。

A) 土木擁壁 ➡ 宅地防災マニアル、道路土工擁壁工指針
   地震時の土圧の割り増しについては、ある高さから考慮する。

B) 建物擁壁 ➡ 建築基準(施工令)、建築基礎設計指針
   地震時の土圧の割り増しはしない

そのため確認申請を提出する場合には、提出先の市の建築主事と設計方法のすり合わせがある程度必要になります。


相異点のいろいろ
                     
その1 供用上の基本的相異点

A) 擁壁    ➡ 擁壁構造物は人間と直接は関係性が無く、それに接する地盤を対象とした構造物である。

B) 建築物 ➡ 内部空間に通常人間が在留することを想定している場合が多い。
                その為、構造物としての安全性(安全率等)は擁壁よりも高く設定されている。
        
その為、設計、監理基準、供用中の規制は、擁壁よりも建物の方がより厳しく規制されております。



その2 設計の資格制度の相異点

A) 擁壁➡  基本的にはない。
あったとしてもその要件は軽いものです。施工上にも特別な資格は必要ありません。
例外的に 都市計画法による開発行為等による場合等については、簡単な実務経験や講習等でもらえる程度の資格が要求される程度です。

B) 建築物➡ 建築物、階数、面積、構造等により、木造建築士・二級建築士・一級建築士・構造一級建築士・設備一級建築士等によるものとすることが、建築基準法により細かく規定されています。


その3 確認申請の相異点

A) 擁壁  ➡ 施主や施工者築造場所や規模と図面添付は要求されますが、建築物とは異なり施工監理者との記載は要求されておりません。

しかしこの擁壁工事施工監理者の表示が要求されていないということは、重大な問題が起こる危険性があります。
このことは建築物と異なり施工自体に欠陥があった場合に、施工監理者を被告として損害賠償責任を追及できなくなる可能性があることです。

又、通常は下記写真にある建築士会連合会の発行する擁壁構造図集の中から、適当な高さの擁壁を選び申請書に添付すればよいことになっております。
このことは擁壁については、申請人である建築士もそれを審査する役所の担当者も、通常の建築物のような知識が少ないためにこの図面どうり施工するということにして、双方の手間が省けるというしくみが長年の了解事項になっております。

以前にこの中の擁壁を正式に構造計算をしてみたことがありますが、通常の設計よりもかなり安全側に設計されておりました。構造計算書がいらない擁壁である為、十二分に安全率を見ているということです。


                 


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その4 改修工法に対する技術レベルの格差とのミスマッチ。

土木関係者のコンクリートに対する全ての経験知は、各段に建築関係者のスキルを凌駕しております。
土木構造物には高速道路、橋梁、トンネル、ダム、等の公共物の占める割合が建築構造物よりも多い。
従ってこれなのものが変状や劣化をした場合にも税金を投入可能な為、特別な場合を除き改修工事が行われます。

従って改修工事の件数が多い為、それに対するデーターも豊富であり専門業者も多く存在しております。

しかし、問題となるのはこれらの業者との接点が現実には無いことあり仮にその接点を求めたとしても、施工金額が公共構造物に比べ民間の擁壁改修工事金額は少ない為、現実的には発注できる可能性は少なくなります。


その5耐用年数に対する考え方の相異。

暗黙の了解事項として、同じコンクリート構造物であっても土木工事仕様の築造物であればその耐用年数100年程度であり、建築工事仕様の場合は50年程度と考えられます。

耐用年数に開きがあるのはいくつか理由があります。
当方の私見ではありますが
●土木業界の構成素材は主にコンクリートと地盤(土や岩)でありシンプルであり、この二つの素材に対する知見と経験則等が各段に優っております。

●土木構造物は建築物と比較してその構成の断面が大きい為、コンクリートを打設する場合に耐久性を支配する水セメント比や、圧縮強度の大きなスランプの小さな耐久性の高いコンクリートを打設することが可能です。
昔、縦4m横3m位の地中梁のコンクリート打設の現場の設計監理をしたことがありますが、建築工事と比べてその断面積は100倍にもなります。

●当方は建築畑の出身でありますが、残念ではありますが、コンクリートや地盤についての知識と知見は土木出身者の方が各段に優越していると思います。


その6 改修工法の相違点

不都合な施工個所を確認する方法が、コスト面から擁壁の場合は難しい。何故なら構造的に重要な個所である基礎部分や壁体部分は、地中内に埋設され建物のように外部から確認することが出来ません。

この点は建物が基礎部分以外は目視ができる部分が多い為、問題個所の検査は比較的に可能です。
この点が最大の相異点であるといえると思います。


結 論

前記縷々述べたように、擁壁という構造物はその規模にもよりますが、ある意味特殊な構造物と言えます。

規制や設計基準、監督主体がバラバラであり、種々の『擁壁トラブル』から訴訟にまで発展した場合でも、建築関係の訴訟と異なり判例自体が未だ少く統合されていない為、裁判の道筋が見分けにくいといわれております。

現状のように擁壁構造物として一括りとせずに、建築物のように用途、規模、築造場所、等々による構造計算基準の整備や、設計者及び監理者の資格制度の整備が必要であると考えます。

しかしわが国には国会議員が500人以上も高い歳費をもらいながら、このような目立たな地味な仕事は選挙票に繋がらない為に、誰も働いてくれないのです。

                                                              以上です



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