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 ダイヤ設計の業務は、建築訴訟・擁壁訴訟・地盤訴訟・損害保険訴訟等の鑑定書の作成、及び調査診断報告書の作成。
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『技術屋の辛口コラム』

『技術屋の辛口コラム』

№15・コンクリートひび割れ原因調査の難しさについて

一級建築士 ・地盤品質判定士 ・コンクリート診断士  目黒碩雄






№15・コンクリートひび割れ原因調査の難しさについて

「参考文献 日本コンクリート工学会編 コンクリートひび割れ調査・補修・補強指針」 


この稿はコンクリートのひび割れ原因調査において、基本的な障害等についてその概論を述べてみます。

※ポイントになる重要な用語のみを頭記して解説をしておきます。

補 修  ➡ 耐久性、防水性などの耐力以外の性能を回復させる行為。
補 強  ➡ ひび割れによる耐力低下を回復させる行為。
初期欠陥 ➡ 施工時に発生する豆板やコールドジョイント、砂スジ。
変 状  ➡ いろいろな劣化の総称。
劣 化  ➡ 変状のうちで時間の経過によるもの。
技術者   ➡ 財団法人、日本コンクリート工学会が認定するコンクリート診断士をいう。


〇ここでは民間発注による構造物に限定して記述します。

その理由=重要度の高い公共コンクリート構造物の場合において、構造物の損傷により人的な事故等が発生した場合や監理行政庁の責任範囲が法律で規定さている構造物(例 高速道路)のような場合には、国家賠償や個人からの損害賠償請求につながる可能性があります。

従ってこのような構造物の調査については、潤沢な予算と物的・人的に高度な技術の裏付けがある事や施工時の関係文書や図面が存在していることにより、かなり正確な原因究明が可能となります。

一方調査機関として設備も調査コストも限定されている当事務所が調査依頼される場合、コンクリートの構造物がごく小規模で工事費が1,000万円にも満たない擁壁や、建物基礎の調査等の依頼を受ける場合があります。

このような構造物の推定調査は、下記に述べる理由により大規模構造物よりもかなり困難がともなうのが普通です。
その原因推定の難しさ列挙してみます。

●民間小規模の構造物の為、施工管理(又は監理)記録の亡失。

●設計図、構造計算書、地盤データー、コンクリート調合表、コンクリート強度試験データー、コンクリートマンボ(伝票)などが調査時点または施工当初から存在していない。
●コンクリート打設時期の記録や、ひび割れ発生時期の記録が無い。
●下請け会社や小規模な業者が施工している場合が多く、施工面で一番重要なコンクリート打設の技術能力が低いこと等が挙げられます。


〇実際の具体的原因推定の方法について。

チェック項目(ひび割れ原因)は、約45項目程度存在します。その項目を全部記載することはここではできませんが、その一部をリスト化してみます。
そしてその原因を推論することになりますが、この際にコンクリート診断士としての高度な総合的な判断力が必要となります。

ひび割れ原因の推定に至る方法は、大きく分けて標準調査と詳細調査の二段に分かれております。

標準調査で結論が出れば一番良いのですが、確定できない場合にはより調査項目を増やして、予算と調査方法等を加味したうえで詳細調査に入る場合が普通です。
残念なのは、予算の関係で詳細調査に入らずに標準調査のみでその調査結論をしなければならない場合もあります。

又、詳細調査を経たからといってその全ての原因が明らかになるわけでもありません。
特に施工に絡むひび割れ原因の場合には、施工時点においてその現場に立ち会っていなければ確認できない項目や「施工記録」が、どうしても必要な場合もあります。

必ずしも全てのひび割れ原因が究明できる、とは限らないことを銘記する必要があります。

医者にもある確率で誤診は発生します。診断行為に誤診は付き物です。
問題はその結論の蓋然性の確率です。

経験則から個人的には通常の場合90%前後と考えますが、項目によりますが100%
確信できる原因もあります。 


           ひび割れ発生原因分類別リスト

  大分類   中分類   小分類      原  因
 A 材  料  使用材料  セメント ・セメントの異常凝結
セメントの水和熱
・セメントの異常膨張
 骨  材 ・骨材に含まれている泥分
・低品質な骨材
・反応性骨材(アルカリシリカ)
 コンクリート   ・コンクリート内塩化物
・コンクリートの沈下
・コンクリートのブリーデイグ
・コンクリートの乾燥収縮
・コンクリートの自己収縮
 B 施  工  コンクリート  練り混ぜ ・混和材量の不均一な分散
・長時間の練り混ぜ
 運  搬
 打ち込み
・ポンプ圧送時の配合の変更
・不適当な打ち継ぎ順序
・急速な打ち込み
 締固め ・不十分な締固め
 養  生 ・硬化前の振動や載荷
・初期養生中の急激な乾燥
・初期凍害
 打継ぎ ・不適当な打ち継ぎ処理
 鋼  材  鋼材配置 ・鋼材の乱れ
・かぶり(厚さ)の不足
 型  枠  型  枠 ・型枠のはらみ
・漏水(型枠からの、路盤への)
・型枠の早期除去
 支保工 ・支保工の沈下
 そ の 他  コールドジョイント ・不適当な打継ぎ処理
 PCグラウト ・グラウト充てん不良
 C 使用環境   物 理 的  温度・湿度 ・環境温度・湿度の変化
・部材両面の温度・湿度の差
・凍結融解の繰り返し
・火災
・表面加熱
 化 学 的  化学作用 ・酸・塩類の化学作用
・中性化による内部鋼材のさび
・塩化物の浸透による内部鋼材のさび
 D 構造・外力     荷  重   長期的な荷重 ・設計荷重以内の長期的な荷重
・設計荷重を超える長期的な荷重
 短期的な荷重 ・設計荷重以内の短期的な荷重
・設計荷重を超える短期的な荷重
 構造設計   ・断面・鋼材量の不足
 支持条件   ・構造物の不動沈下
・凍上
 E その他 ・その他


〇補修工法について

ひび割れの原因が判れば、そのひび割れの程度により『補修・補強』の要否を判定することになります。
同程度のひび割れであっても、その発生原因が判明しなければ適正な補修工法を採用することが出来ません。
<改修コスト>に直接影響することになります。
したがってこのひび割れ原因の把握は、コンクリート補修工事の1丁目1番地となります。


〇まとめ

上記にまとめられている推定原因の回避は、計画段階においては施主や発注者が確認する見積書の項目に通常反映されません。
通常は設計者自身もコンクリート施工についての知識は乏しい為、設計図書の中で特別にコンクリート工事専用の<特記仕様書>を作成して、細かく施工方法を指定していないのが普通です。

対象構造物が通常の他の構造物と比較してコンクリートの劣化が極端に激しい場合には、上記原因項目中の施工に関する原因に起因している場合が多い事実が、当方の経験からもいえると思います。

見積書を比較して最終金額の見積高の比較をいくらしても、コンクリート構造物の完成後の健全度の判定には役立つと事はありません。
この辺が他の建築材料と比較して、コンクリート構造物の設計者、施工者、設計監理者等の関係専門業者選定の難しい所です。



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